しがぎん経済文化センター

花と緑のふしぎ 講師 田中 修 先生

「植物は不思議がいっぱい 驚きの世界が待っている!」

田中 修

「植物はすごい!」と、来春から始まる大津会場の新講座「花と緑のふしぎ」の講師・田中修さんは笑顔で言い切る。


 


「植物は動物のように動きまわることができないから下等な生物だとよくいわれます。でも、植物は動きまわることができないのではなくて、動きまわる必要がない。動物が動きまわる最大の理由は食べ物探し。これに対して植物は根から吸った水と空気中の二酸化炭素を吸収し、太陽の光で光合成をして、自分に必要な栄養を自分でつくっているので、動きまわる必要がないんです。人間の科学が進歩しているといっても、動物は無機物から有機物はつくれませんからね。科学は植物の葉っぱ1枚にも及ばない!」


 


軽妙洒脱な語り口でテンポよく展開する田中ワールドに一気に引きこまれてしまう。NHKラジオ「夏休み子ども科学電話相談」をはじめ、日本テレビ「世界一受けたい授業」やNHK「アインシュタインの眼」など、数々のテレビやラジオ番組、講演会で、植物の世界を親しみやすく解説してくれる人気の講師だというのも納得だ。


 


「さらに、動物は動きまわって生殖の相手を探さなくてはいけません。一方、植物は花粉を他の株の雌しべに付けるために、花粉を虫や風に託します。どこに飛んでいくかわからないものに、生殖という大切な行為を託すのですから、植物はすごく不安なのです(笑)。その不安を打ち消すためのさまざまな工夫が花に込められている。例えば、杉はまわりの空気が白く曇るくらい大量の花粉を出して、どこへ飛んでいっても確実に子孫を残せる態勢をとる。杉はすごく心配性の植物なんです」


 


環境に対応する巧みな仕組みを備えているのが植物だという。昼と夜の長さをはかり、季節を予測して花を咲かせたり、よりよい花粉を運んでもらえるように、花は色や香りで虫を誘う。同じ株の花粉では受粉せず、子孫を残したら潔く散る―その“あっぱれ”な生き方にも目を見張るものがある。


 


「植物って本当にすごいでしょう!」


 


田中さんの専門は植物生理学で、蕾が作られる仕組みがメインの研究テーマ。動物は生殖器官をもって生まれてくるのに、植物はある時に生殖器官である花の蕾を作る。どういうタイミングで何から作られるのか、改めて考えてみるととても不思議な現象だ。


 


「植物は不思議がいっぱい。不思議は一つ解決しても、また不思議が出てきて尽きることがない。その不思議に惹きつけられました」


 


桜花爛漫の季節に科学の視点から花と植物を眺めてみよう。そこには、きっと今まで知らなかった驚きの世界が待っている!


講師プロフィール

甲南大学特別客員教授 田中 修 (たなか・おさむ)

1947年京都府生まれ。京都大学農学部卒業。同大学院博士課程修了。スミソニアン研究所(アメリカ)博士研究員を経て甲南大学理工学部教授。現在、同大学特別客員教授。農学博士。専門は、植物生理学。主な著書は『植物のあっぱれな生き方』(幻冬舎新書)『植物はすごい』(中公新書)など。NHKラジオ番組「夏休み子ども科学電話相談」でも活躍。

田中 修

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