皆様、こんにちは。
23日に出演いたします、西村静香と申します。
このような機会を頂いた事、また、リスト生誕200年という特別な年にパガニーニ大練習曲集の全曲演奏に挑める事、とてもありがたく、光栄に思います。
まだまだ修行中の身ではありますが、全力を尽くして演奏させていただきますので、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

さて、今回の私のプログラムは、リストに大きな影響を与えた作曲家、がテーマになっています。
まず取り上げさせていただくのは、ベートーヴェンのピアノソナタ第15番、田園です。
リストがベートーヴェンの影響を受けていることは、交響曲のピアノ編曲版を書き起こした事などからも明らかで、古典的に構成されている作品も数多く残っています。
ロマン派主義には、これまであった形式や規則からはずれ、それまで現実不可能に見えたものをいかに具現化するのか、というコンセプトがあるのですが、ベートーヴェンはその対極にある古典派を発展し完成させた人物でした。同時に、自ら作り上げた様式を少しずつ崩したり、変則性を加える事により、ロマン派への「橋渡し」とでも言うべき作品をたくさん書き上げたことでも知られています。
今回演奏させていただく田園ソナタは、ちょうどその中間地点に書かれた作品です。形式や調性の変化など古典派の様式を守りつつ、旋律の展開やイメージされるオーケストラの編成などは、初期の作品と比べ自由に拡張されたものになっています。

リストに影響を与えた人物として忘れてはならないのが、作曲家兼ヴァイオリニストとして高名なニコロ・パガニーニの存在です。
演奏家、芸術家としてパガニーニを尊敬し、自らも「ピアノのパガニーニ」と呼ばれる程、悪魔的なヴィルトゥオーゾを誇ったリストは、彼の作品の主題を基に、ピアノ的な技巧の粋を集めた練習曲を構想しました。当時(現在もですが)パガニーニの作品は、ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾの代名詞となっていましたので、その主題を引用する事は、この練習曲集が名実共に、ピアノの超絶技巧の象徴である、という意味合いが込められています。一方で、リストが、作品集としてのまとまりや音楽的な起承転結に腐心して作曲していることが汲み取れ、効果的な演奏効果と相まって、聴衆を飽きささない工夫が数多く施されています。
現代において、いまや最も有名なピアノ作品のひとつである「ラ・カンパネラ」を含む、全6曲それぞれに特徴的なキャラクターや鮮やかな色彩が散りばめられ、演奏後の満足感もたっぷりです。

私自身、今回初めて6曲を通して演奏させていただくので、楽しみな気持ちと同時に、少し緊張しています。大げさではなくピアノと格闘を続ける毎日です(笑)。
長くなりましたが、23日に皆様にお目にかかれますこと、心より楽しみにしております。

西村静香