“思い出”

 

 はじめて「KEIBUN第九」に参加させていただいたのは、50才の時でした。ドイツ語の歌詞をおぼえるのに四苦八苦いたしました。台所仕事のあいまにも、カセットを手離せませんでした。小林研一郎先生指揮のもと、歌い終えた時の、あの感動を忘れることはできません。やみつきになり、2・3・4・・・16回目まで続け、数年のブランクのあと、又、復帰しました。一年に一度の友との出会いも嬉しく、年令を忘れて、81才まで歌わせていただきました。その年は、32回目、小林研一郎先生の指揮でした。

 さて、1989年、東西ドイツ統一の年、ベルリンの壁が崩壊されました。みんなの心もひとつになり、シラーの詩「人びとは、すべて兄弟となる」を声高らかに歌い上げました。

 2013年、「フィンランディア」を歌うことになった時、英語の歌詞、暗譜に、文字通り、老骨にムチ打って、アタマにたたきこみました。この曲を聴く度、わくわくしてきて、あの時のことが、なつかしく思い出されます。

 毎年、まだ、太陽の照りつける8月から練習がはじまります。12月本番に向けて、10回あまり、がんばって通いました。

 私の人生には、いつも、そばに「第九」がありました。輝いていました。

 最後になりましたが、長年、ご指導くださいました先生方、ケイブンのスタッフの皆さまに心より厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 コロナで、今年は、残念無念です。この気持ちを、2021年暮れに、「KEIBUN第九」が、びわ湖ホールに響きわたることを心から願っています。

 「KEIBUN第九」は永遠です。