KEIBUN第九演奏会・・・思うままに

昨年12月21日、“KEIBUN第九2019”が大盛況のうちに終演し、合唱団の解団式で仲間と1年後の演奏会で再会を約束したが、その演奏会が新型コロナウイルス感染症防止のために1年延期されるとは夢にも思わなかった。
若いころから音楽を聴いたり歌ったりすることは好きであったがコーラスの経験はなく、「交響曲第9番」「第九」と聞いてもベートーヴェンの作曲で、年末によく歌われる曲ぐらいしか関心はなかった。
地元滋賀県守山市の混声四部合唱団に70歳直前で加入して活動し、守山市民ホールで開催された“もりやま第九コンサート”にも出演、クラシック音楽の合唱にのめり込んだ。守山で「第九」を経験すると、今度は日本でも屈指の音楽ホールである滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールでも歌ってみたいとの欲が出た。2009(平成21)年12月12日、しがぎん経済文化センター主催の“KEIBUN第九2009”にバスパートで出演した。指揮は小林研一郎さん、管弦楽は大阪フィルハーモニー交響楽団、合唱指導は本山秀毅、福永圭子、田中正彦の皆さんであった。“KEIBUN第九”にはその後も、大谷圭介、田中正彦、中嶋康子、福嶋あかね、宅間司さんらに合唱指導を受け、下野竜也、金聖響、井上道義、山下一史、大植英次、沼尻竜典、三ツ橋敬子さんらの指揮のもとで昨年まで11回連続出演した。
「第九」は″すべての人びとは兄弟となる″というシラーの詩の一部を用いてベートーヴェンが作曲したもので、年末の風物詩として有名である。歌いだし部分の旋律は高低差が少なくて馴染みやすいので初心者もつい口ずさむが、実は限りなく奥が深い。それはドイツ語で書かれていて日本語にない発音があり、いくつかのルールがあって慣れるまでに努力と時間を要するからである。ウムラウト表示の文字があったり、腹式呼吸でのどの奥を大きく開けたり、口を縦に開いたりすることも要求される。合唱の初っ端のFreude、313小節のKüsse、631小節のIhr stürztなどは正確な発音が厳しく求められる。初心者にとって発音は容易でないが、ある程度マスターすると楽しみが湧いてくる。卓越した合唱指導者による長期間にわたる厳しい練習に耐え、素晴らしい会場で著名な指揮者と管弦楽団のもと、満員の聴衆を前にしてソリストとともに歌い終えたときの達成感は他の何ものにも替えがたく、のめり込む所以であり今後も続けていきたいと思っている。