第九の魅力

他の第九の練習は知らないが、KEIBUN第九の練習はとても楽しいし充実している。講師の先生方が、楽しく、厳しく導いてくださるからだ。一方、しんどいのは本番である。そもそも、第九はキーが高いし休ませてくれない難度の高い曲であるうえに、気持ちが高ぶって力んでいるからだ。
初めて第九を歌ったときは、途中で声が出なくなった。事前に、「歌えるところだけ歌えばよい。300人いるから誰かがカバーしている。」とアドバイスをもらっていたのに、いざ、本番となると緊張も相当あったが、張り切りすぎた。歌詞の意味もあまり分からず、また、声も出し切れないまま終わってしまった。
2回目、3回目もやはり声が続かない。歌えるところだけと思いつつ、妙に頑張ってしまう。楽しかったが、納得がいかない。しかし、4回目は少し違った。慣れてきたし、張り切るのはやめようと思ったら、上手く歌えたわけではないが最後まで歌えた。また、張り切らないほうが、良い声が出ていたように思う。300人の仲間がいるから心配することはないと思うと、毎年結成される合唱団のチームワークが大事なんだと自覚できた。30回以上も歌っておられる大先輩から学生まで参加するすばらしい市民合唱団である。
私にとって第九の魅力は、歌ったあと、大きな「喜び」と「充実感」に満たされることだ。そして、たぶん何回歌っても納得がいかずに、次にまたチャレンジしたいという気持ちが湧いてくる。本番が終わって年が明けてからも、車で練習用のCDを聞いて口ずさんでいる自分に笑う。
びわ湖ホールの大舞台で第九を歌うのは本当に気持ちが良い。一緒に頑張ったすばらしい講師陣に送り出され、最高の音響、プロの指揮と管弦楽団の演奏、加えて満席のお客様がいる晴れ舞台。このような機会はめったにないので、まだ、第九を歌ったことがない方も挑戦されてはどうか。
「第九は、プロの声楽家のソロがあるが、歌の最後は合唱団がしめる、つまり市民合唱団のための曲である」と、どなたかが書いていた。我々のために200年も前に第九を作ってくれたベートーヴェンに感謝感謝である。