Walk On vol.51 伝説と歴史の舞台を歩く 三尾里

DATA高島市
  • 歩行距離 約2.5km
  • 歩行時間 約45分

 

継体天皇出生の謎を秘めた伝承地をめぐる

 

「日本書紀」や「古事記」に登場する第26代継体(けいたい)天皇は、歴史的に系譜が明らかで実在が確認できる最初の天皇とされている。「日本書紀」によれば応神天皇5世の孫にあたるとされているが、その出自や皇位継承の経緯は謎が多く、古代史ファンの想像力をたくましくさせている。

近江国高島郡の三尾(みお)の別邸に住んでいた古代の皇族・彦主人王(ひこうしおう)が、越の国(現在の福井県)から振媛(ふりひめ)を妻に迎え、そこで生まれたのが男大迹王(おほどのおう)、のちの継体天皇だといわれている。

三尾は現在の安曇川町三尾里(みおざと)を中心としたその周辺の広い地域。古くは三尾郷と呼ばれていた。安曇川町田中には、彦主人王の陵墓参考地とされる田中王塚古墳、振媛が男大迹王を出産した時にもたれかかったと伝えられる三尾神社旧跡の「安産もたれ石」、彦主人王と振媛を祭神とする三重生(みおう)神社がある。そして三尾里の南には男大迹王が生まれた時のへその緒を埋めたと伝承される胞衣(えな)塚があり、継体天皇の出生を裏付ける遺跡の多さに驚かされる。

鴨川の南にある鴨稲荷山古墳も継体天皇とゆかりのある墳墓だといわれている。明治35年(1902年)に発見され、その後の調査で横穴式石室から家形石棺が見つかり、棺内には副葬品として金銅製の宝冠(ほうかん)や飾履(かざりぐつ)などが納められていた。被葬者はこの地で大きな勢力をもつ古代豪族で、男大迹王に2人の妃(きさき)を出し、天皇擁立にも深く関わった近江三尾氏の族長ではないかと考えられている。

今回は安曇川駅から安閑(あんかん)神社を経て、胞衣塚、鴨稲荷山古墳、そして高島歴史民俗資料館を訪ねてみたが、安曇川駅観光案内所のレンタサイクルを利用すれば、その他の伝承地も含めて広範囲で探訪することができる。高島市ののどかな田園風景を楽しみながらのんびりと散策し、近江の古代史に思いを馳せてみるのも贅沢な時間だ。