Walk On vol.49 伝説と歴史の舞台を歩く 深坂古道

DATA長浜市
  • 歩行距離 約4km
  • 歩行時間 約1時間30分

琵琶湖と日本海を結ぶ運河の夢の跡を歩く

 

平安時代末期、平清盛は福原遷都(せんと)の夢を掲げ、日宋貿易の拠点として大輪田泊(おおわだのとまり、現在の神戸港)を修築、激しい風波を防ぐため港に人工島の経ヶ島(きょうがしま)まで造ろうとする(完成は清盛の死後)。他にも安芸(あき)の厳島神社や音戸瀬戸(おんどのせと)など数々の土木事業を推し進めた清盛は、新時代を切り拓くイノベーター(革新者)だったのだろう。その夢は清盛の死で潰(つい)えてしまい、やがて平家は滅びてしまうのだが…。

長浜市西浅井町と福井県敦賀市の県境、塩津海道と呼ばれた古道の途中に、小さなお堂の深坂地蔵がある。ここにも清盛の夢の足跡が残っている。清盛の命を受けた長男・重盛は、塩津の大川と敦賀の笙の川(しょうのかわ)を利用して日本海と琵琶湖を運河で結ぶ壮大な計画をたてた。この峠付近で試験掘りを行ったところ大きな岩に突き当たり、石工がこの岩を打ち砕こうとすると突然の腹痛に襲われ、工事は中断に追い込まれる。不思議に思って岩を掘り起こしてみたところ、なんとお地蔵様の姿をしていたという。その後、この地に祀られ「掘止め地蔵」と呼ばれ、庶民の信仰を集めるようになった。

深坂地蔵のあるこの峠道は、古くから「深坂越え」と呼ばれ、現在は深坂古道として標識や案内板も整備され、先人の足跡をたどることができる。国道8号の近江鶴ヶ丘バス停を起点に深坂峠(標高370m)を越えてJR新疋田(しんひきた)駅まで3.8㎞の道のりだ。深坂地蔵までの参道は緩やかな石段が続き、峠越えの道から下りはカーブの多い山道で古道の風情がたっぷり楽しめる。木橋を渡る沢沿いのルートも心地よい。万葉歌人の笠金村(かさのかなむら)や、越前に赴任する父・藤原為時に同行した紫式部が通った道だと想像して歩くと、また格別の趣が感じられる。

公共交通機関の路線バスの本数が少ないため、JR新疋田駅のダイヤも事前に調べておいて、時間を有効に使って歴史散策をゆっくりと楽しみたい。