しがぎん経済文化センター

暮らしのなかに息づく文化を再発見 講師 井口 貢 先生

「文豪の名作を通して「まち」を再確認!〈まちつむぎ〉の面白さをご一緒に」

井口 貢

日本らしい都市として必ず筆頭に上がるのは京都ですが、良い意味でそれは特例ではないでしょうか。私たちの暮らしの中で、より今の日本を表しているまちは、近江八幡や金沢、郡上八幡、さらに誤解を恐れずにいえば、名古屋ではないかと思うのですよ」と語るのは、同志社大学教授の井口貢さん。


 


『暮らしのなかに息づく文化を再発見』をテーマに、来年4月からスタートする新講座を担当する。各回のタイトルには柳田國男と長浜市、三島由紀夫の『潮騒』と米原市など意外な組み合わせが並び、どのような接点があるのか興味を惹(ひ)かれる。


 


「確かに文芸作品は作家が生み出したフィクションかもしれない。でもそこには必ず歴史的、文化的、社会的な背景がある。文豪たちの名作を通して、歴史について、文化について、日本らしさや地域性について、今まで気付かなかった視点から考えてみることで、遠くはなれた地域でも類似点が見つかることもある。逆に近くでも意外な差異の大きさに驚きを覚えることもあるでしょう。作家たちの視点を通して、多くの発見と出会っていただきたいですね」


 


サブタイトルには〈まちづくり〉と〈まちつむぎ〉のことばがある。1960年代、高度成長期の好景気に沸いていた日本各地で、行われてきた〈まちづくり〉に対して、〈まちつむぎ〉は耳慣れないことばである。そこには井口さんの思いが込められている。


 


「〈まちつむぎ〉は、縦糸のようにまちをベースに、新たに横糸をいれて織り上げるような活動のことです。そのまちに住まう人たちが、そこに息づく歴史、文化を踏まえた上で、自分たちで新たに魅力を発見し、そして発信していく。まちを舞台に、新たなタペストリーを紡いでいく作業、それが〈まちつむぎ〉ではないかと考えます。今回の講座は文芸作品を用いながら〈まちつむぎ〉の思いを込めて進めていきたいと思っています。ご一緒にご自身の中にあるアイデンティティーと、まちという現実をつむいでみませんか」 と井口さん。ただ住むだけではなく、まちとともに生きることについて考えてみる機会にもなるのではないだろうか。


講師プロフィール

同志社大学政策学部教授 井口 貢 (いぐち・みつぐ)

1956年米原市生まれ。79年滋賀大学経済学部卒業、82年同大学院経済学研究科修了。岡崎女子短期大学、岐阜女子大学、京都橘女子大学を経て、2007年より同志社大学政策学部・総合政策科学研究科教授。主な著書に『くらしのなかの文化・芸術・観光』(法律文化社)『入門 文化政策』(ミネルヴァ書房)『観光文化と地元学』(古今書院)『まちづくり・観光と地域文化の創造』(学文社)など。

井口 貢

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