しがぎん経済文化センター

近江の祭礼行事を探る 講師 中島 誠一 先生

「伝統行事の意味をひも解く 奥深い「近江の文化力」を体感してほしい」

中島 誠一

湖国の春を彩る「長浜曳山まつり」。今秋、ユネスコ無形文化遺産への登録が有力視されている。「曳山まつりをはじめ、滋賀県の湖北や湖南、甲賀地域には歴史ある伝統行事が今も多く残されています」と語るのは、秋の新講座「近江の祭礼行事を探る」で講師を務める長浜市曳山博物館館長の中島誠一さん。


 


今回の講座では雨乞い信仰、オコナイ、そして曳山まつりを取り上げる。「滋賀県で多くの祭礼行事が伝承されてきた理由のひとつに、滋賀県人の合理的思考が挙げられます。例えば、長浜曳山まつりでは12基ある曳山を毎年4基ずつ3年に一度交代でまわし、また、子ども歌舞伎の役者が不足する場合は地区外からも選ぶなど、状況に応じて柔軟に適応してきたことが大きい」


 


長崎県出身の中島さんは、西日本を中心としてフィールドワークを続ける中で、滋賀県の祭礼のユニークさ、滋賀県人の人情の温かさに魅せられたという。「毎年同じことを繰り返す農耕文化の性格の表れでしょう。代々受け継がれているものの、その意味までは伝わっていない行事を〝止めると気持ち悪い〟と続ける。雨乞いの祭りやオコナイも同様です。現在、私たちが目にする雨乞いの祭礼は、雨が降った後に神へ返礼する踊りで、また、オコナイは年の初めに五穀豊穣と村内安全を祈願する神聖な儀式だが、そこには実にさまざまな祈りのかたちがあり、村ごとに驚くほど差異がある。それぞれの村における文化レベル、独立性の高さを改めて感じていただければと思います」


 


講座ではビジュアルを多く取り入れながら、それぞれの地域の行事のあり方を紹介する予定。日常に即した身近な伝統行事が題材だけに、ついつい新たな発見や疑問が生まれることになるだろう。


 


「わからない!と思っていただくことこそ本望(笑)。ものごとには意味があり、なぜこのようになったのかを考えることで、先人の自然に対する畏敬を共有していただきたい。私を交えて皆さんと意見が交流できる講座になればと思っています」


講師プロフィール

長浜市曳山博物館館長 中島 誠一 (なかじま・せいいち)

1950年長崎県生まれ。佛教大学大学院文学研究科(日本史)修士課程修了。長浜城歴史博物館館長を経て現職。専門は日本民俗学。西日本のオコナイ、滋賀の民俗芸能、祭礼などを研究。主な著書に『近江の祭りを歩く』『川道のオコナイ』(以上サンライズ出版)『オコナイ 湖国・祭りのかたち』(INAX BOOKLET・共著)など。

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